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• 【マイクロインバーターとラピッドシャットダウン】
  ラピッドシャットダウンとは太陽光発電設備の直流回路を緊急時に即時にシャットダウンさせる安全機能です。電気用品安全法には本来、一般的な電気用品の基準としてラピッドシャットダウン機能及び遮断後のシステム電圧45V以下という規定があります。ところが太陽光発電設備は電安法が定める特定電気用品に入っていないため、この機能がおろそかにされてきました。
  しかし、2017年に埼玉で大規模流通倉庫が火事になった際、屋根の上に太陽光発電設備が載っており、この機能がなかった為に放水された際に爆発が起こり、その後消し止めることができなかったことが教訓となり、改めてラピッドシャットダウン機能が求められるようになりました。
  ラピッドシャットダウンは直流回路を遮断し、電圧を45V以下に抑える必要がありますので、パワーコンディショナーを停止させても実現はできません。パワーコンディショナーに入力する太陽光パネルが直列でつながっているからです。
  ラピッドシャットダウンを行える装置はパネル1枚毎の電圧を調整するオプティマイザーというものと、マイクロインバーターの2種しかありません。
• 【マイクロインバーターとオプティマイザー】
  マイクロインバーターはパネル毎に装着され、直流で出力されるパネル電力を交流（200V〜220V）に変換するもので、つまり、パネルを交流パネルに変換します。出力された交流電力は並列でまとめられ、低圧の場合はそのまま売電メーターへ、高圧の場合はキュービクルへと流れます。パワーコンディショナーは必要ありません。
  オプティマイザーはインバーター機能はなく、パネル1枚毎の電圧を調整し、パネル1枚の電圧低下によってストリングでつながったパネルの電流が流れなくなるのを防ぎます。従来のパワーコンディショナーを使用したシステムに対してパネル毎に追加で付加するものです。
• 【マイクロインバーターの利点】
  マイクロインバーターには従来のパワーコンディショナーに比べて多くの利点があります。そのため、欧米諸国では、既にマイクロインバーターが標準と成りつつあります。
  1. 今後、新設のシステムに標準搭載が義務付けられるラピッドシャットダウンを持っているので、「パワコン＋オプティマイザー」の組み合わせに比べて、大幅なコストダウンが期待できます。マイクロインバーター1基の価格はオプティマイザー1基の価格と大差ありませんので、パワーコンディショナーが必要ない分コストが下がります。
  2. マイクロインバーター数十台毎にゲートウェイという通信機器が標準で設置され、パネル1枚毎の発電状況を監視しています。このゲートウェイに通信回線を繋げることで、リアルタイムな発電状況をモニターできます。つまり、従来のような高額な監視モニターが必要ありません。
     また、故障などのトラブルの際にはピンポイントでパネルを探し当てることができますので、メンテナンス性も良好です。
  3. マイクロインバーターには可動部分がありませんので、故障がほとんどありません。そのため、標準でメーカー保証が15年ついています。これはオプションで延長することができます。
  4. マイクロインバーターは全てが並列でつながる構造ですので、面倒なストリングの設計が必要ありません。また、カプラーを繋いでいくだけの作業ですので、電気工事費が大幅にカットされます。
  5. 従来のパワコンのシステムであれば、特定のパネルにかかった影や故障の影響が、直列でつながったストリング全体に及びました。マイクロインバーターは全てが並列ですので、影や故障の影響は当該のパネル以外に出ません。そのため従来のシステムに比較して、年間発電量が10％ほど高くなるという報告があります。

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2023年9月3日

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